知床 北海道

Life

斜里町暮らし、春夏秋冬

気象庁ホームページよりグラフ化 (1991-2020平均)

斜里町の気温

いちばん寒い2月で平均気温-7℃、いちばん暑い8月で平均気温19.3℃。最近は温暖化の影響で、冬が暖かかったり、夏に30℃を超えたりすることもあります。雪は実はそれほどたくさん降りませんが、いちど降ると溶けないため5月くらいまで雪があります。(気象庁ホームページより)

流氷は春の季語、といわれています。冬に知床半島に接岸していた流氷は、だんだんと南風に吹かれて沖へと離れていきます。こちらでは「海明け」と呼ばれ、氷で閉ざされていた海へ出漁が可能となる時期。ヒグマも冬眠から目覚め、斜里町には春がやってきます。

4月の平均気温は4.1℃、まだ雪も残っています。車のタイヤはまだスタッドレスのまま、突然の雪や路面の凍結には注意が必要。なのですが、冬から春へ、季節の変わり目を実感して幸せな気分になるのもこの時期。陽射しがキラキラと輝き、街中でも鳥のにぎやかな鳴き声に気づきます。

5月の連休を明ける頃には、雪はほとんどなくなり、桜が咲き、車もノーマルタイヤに衣替え。北海道は梅雨がないので、カラッとした気候の中、新緑に彩られた暮らしが続きます。

知床の夏といえば、観光客の皆さんがたくさんやってくるハイシーズン。ですが、斜里町の夏といえば「お祭り」です。斜里町の友好都市、青森県弘前市のねぷたが練り歩きます。なぜ、ねぷたか?については深いストーリーがあります。ドーンドーンと太鼓の音が響き渡り、大人も子供もみんな笑顔で集まり、ねぷたをひいていきます。

斜里神社の例大祭では、お神輿が町内を練り歩き、神社の前には露店が並ぶ、まさに夏祭り。他にも、クラウドファンディングで花火大会が開催されたり、斜里の町は祭りで一色となります。

8月の平均気温は19.3℃ですが、最近は30℃を超える日もあります。この時期に知床の森歩きをすると、木陰が涼しくて自然のありがたさを体感できるのも特長です。畑では小麦を刈り取る風景が見れます。

斜里町の秋はとても多様です。9月は鮭の漁のシーズン。たくさんの鮭が港に水揚げされ、ぎっしりと鮭が積まれたダンプカーが道を走ります。川に行けば、産卵のために川を上ろうとする鮭の姿を間近で見ることもできます。川で生まれ、海で育ち、川に帰ってくる。鮭は海と森をつなぐ、サスティナブルフィッシュです。

鮭漁は10月も続きますが、山々はだんだんと色づき始め、秋の深まりを感じさせます。食欲の秋といいますが、この時期の斜里町は美味しいものであふれます。鮭はもちろん、馬鈴薯(ばれいしょ)・ジャガイモの収穫シーズン。旬の味わいに、斜里の暮らしを実感できるでしょう。

11月になるとぐっと冷え込み、雪もちらつき始めます。そろそろ冬の準備です。

12月から平均気温がマイナスになるように、寒い冬がやってきます。観光客はまばらとなり、畑は雪に覆われ、漁も終わり。海は波が高くなり、空もどんよりと曇る、まさにグレーのシーズン。でも、このグレーの季節こそ、アートが生まれる原動力かもしれません。クリエイティブな活動する人が多いのも斜里町の特徴です。

そして1月下旬から2月にかけて流氷がやってきます。こちらでは「氷が来る」と言います。遠くロシアから流氷は風に乗って知床半島まで旅をし、接岸します。流氷がやってくると、町はにわかに活気づきます。その神秘的な風景に惹かれるのは、観光客だけでなく地域の人も一緒です。

斜里町は海に近いため、北海道の内陸よりも寒くなることはありません。白い息を吐きながら街のカフェへ行くと、石油ストーブが焚かれていて、心も暖まります。