知床 北海道

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知床ブランディングが
なぜ生まれたのか

知床連山のすぐそばにオホーツク海。海・川・森の象徴的な風景 photo Naoki Ishikawa

知床ブランディング
そのはじまり

2015年に北海道斜里町の知床ブランディングがスタートしました。正式な名称は「知床観光ブランディング強化業務」。つまり観光における新たなアプローチが始まりです。

ちょうどその頃、観光というものに大きな変化がありました。団体旅行から個人旅行へのシフトです。個人で宿泊サイトで予約し、航空会社のサイトでチケットを取る。今となっては当然の話ですが、2015年頃から動きが加速した気がします。

さらに個人旅行の場合、旅先でスマホを見ながら明日行く場所を決めたりします。団体旅行であれば、景勝地・お土産・昼食・宿泊と行く場所がかなり明確です。観光客との接点が多様化する。それはつまりコミュニケーションの多様化ということでもありました。

また世代の変化もだんだんとハッキリしてきました。いわゆる「団塊ジュニア世代」、世界でいうところの「ミレニアル世代」が消費活動のトレンドを創り出す。それは観光でも同様です。また、スマートフォンの普及ということもリンクしているでしょう。

そんな様々な背景からスタートしたのが「知床ブランディング」。””新しい世代に、新しい知床のイメージを届けよう””。斜里町役場と知床斜里町観光協会が、コミュニケーションのプロとチームを組んで進めて行きました。

知床の価値をあらためて
言葉に、ビジュアルに

変化に対応しなくては、という危機感から始まった知床ブランディング。ポイントはいくつかありますが、その名の通り「ブランディング」をしたこと。プロモーションではなくブランディング。知床というものの価値を上げていこう。観光客の方にとっても、地域住民の方にとっても、知床の価値をあらためて高めていこう。

ブランディングはある意味地味な作業です。例えるなら、最大瞬間風速をどれだけ上げられるか?というアプローチではなく、ボクシングのボティブローのように、じわりじわりと効いていく。知床って、いいよね。そう思ってくれる人を増やす。人だけでなく企業や組織も増やしたい。

ブランド価値というものは受け手の心にあるものです。それは人それぞれですし、変わったりもします。まずは知床の価値を言語化し、ビジュアル化する作業から始めました。

知床はサスティナブル
そこに人がいる

知床の価値というものは普遍的なものです。ずっと変わらないものだと思います。それを今という時代の空気とともに、あらためて言葉にする。

知床が世界自然遺産であるのは、流氷を起点とした海・川・森の生命のサイクルが貴重だから。それはつまりサスティナブルなところ。私たちがサスティナブルと騒ぎ出すはるか昔から、知床は知床であり続けてきました。

秘境・知床、手つかずの大自然は、知床の大きな魅力です。その中で、人々は自然と共に暮らしてきました。斜里町の基本理念が「みどりと人間の調和を求めて」なのも、先人の知床に対するリスペクトからです。

「SHIRETOKO! SUSTAINABLE 海と、森と、人。」知床ブランディングのスローガンとロゴが誕生しました。

知床ブランディングチームの一人である写真家の石川直樹さんが、知床連山からオホーツク海を眺める一枚を撮っています。これほど連なった山のすぐそばに海があるのは、世界でもなかなかない。知床ブランディングのキービジュアルが決定しました。

この写真は今でも斜里町のWebサイトのトップページに登場します。


知床ブランディングチーム
斜里町役場・商工観光課
知床斜里町観光協会
クリエイティブ・ディレクター、コピーライター: 初海 淳*
アートディレクター: 原 耕一 (株式会社トラウト)
写真: 石川 直樹
デザイナー、写真: 七郎
デザイナー、キャラクター: せい
マーケティング: 金 正則 (シンク・ファーム株式会社)
*2022年まで株式会社JTBコミュニケーションデザインに所属