斜里町で働く保育士の皆さんの声を集めてみました。インタビュアーは、斜里町へ地域おこし協力隊インターンとしてやってきてくれたライターの木下由貴さん。プロが聞き出した、等身大の声から、スムトコシレトコを感じてみてください。
①門間 美雪 園長 双葉保育園 3年目
②笠井 和代 先生 双葉保育園 5年目
③児玉 瑞菜 先生 双葉保育園 3年目
④西本 千春 先生 双葉保育園 1年目
⑤前川 はるか 先生 双葉保育園 7カ月目
園長になるまでの経緯を教えてください
門間さん:平成元年から勤務しています。はじめての勤務地がこの双葉保育園でした。当時は斜里町のなかに3カ所の保育園があり、移動を繰り返していました。勤務していた保育園によって勤務年数は変わるのですが、双葉保育園に勤務している期間がいちばん長いですね。経験が増えてきたところで園長となりました。
大切にしている保育方針は?
門間さん:いろいろなお子さんがいるので、それぞれの子どもたちが自分自身を発揮して、安心して保育園で生活できるように、「安全・安心」を第一に考えています。その想いを大切にしながら保育環境を作り、職員一同、保育を行っています。斜里町は環境面にも恵まれているので、自然のなかでも元気に遊べるような保育活動を積極的に取り入れています。
双葉保育園に通う子どもたちの特徴は?
門間さん:コロナ禍が明けて、令和5年度の途中あたりからさまざまな保育のなかでの制限が緩和されました。それまでは1クラスずつの活動をする場面が多かったのですが、だんだん緩和されていくなかでいろいろなクラスとの交流も盛んに行われる状況になったんです。今年度の令和6年度は各クラスの交流を活発にやっていこうと、クラス担任で連携を取ることを行ってきたんですね。大きい子たちと小さい子たちの関わりもすごく密接になったおかげで、子どもたちが友だち同士に目を向けて、相手のことを想像したり、思い合ったりと、そういったところが戻ってきたと感じています。それまでは自分本位な行動やトラブルもよく起きていましたが、だんだん友だちのことも受け入れられるようになってきましたね。異年齢(年齢が違う子どもたち)との関わりが増えてきたぶん、思いやりや優しさが育ってきたように思います。
職場環境 / 雰囲気について
門間さん:もし急にお子さんが体調不良になったとしても、日によっては代わりの保育士が対応できない場面もあるんですね。そのときにはクラス同士で混合したり、交流したりして、2クラスを一緒に見るという環境を作っています。職員同士がお互いさまという感覚で、すごく協力的に対応してくれていますね。また、「保育ICT」が導入されて、今年で2年目になります。以前より事務時間が少なくなって、保護者の方にも保育ICTを利用していただくことで、欠席の電話対応などをすることがほとんどなくなりましたね。登降園時もQRコードで打刻するかたちになっていて、名簿に手書きすることがなくなったので、作業の簡素化は進んでいます。
行事のときには期間を決めて残業の時間を設けますが、「できる人でやっていきましょう」ということで、全員で全クラス分の仕事をする風潮です。クラス担任が休むことによって、そのクラスだけ作業が進まなくて困るということがないので、そういった連携は密接に行える環境にはなっていますね。
新人保育士の教育体制について
門間さん:担任には経験のあるベテランの保育士と新人の保育士で、複数担任にしています。どのクラスにも加配児童がいるので、ほんとうに2人担任というのは少ないです。3人担任、4人担任のクラスが多いですね。指導面では経験の多い保育士が保育の支援方法や保育計画の作成の仕方などを現場で丁寧に知らせています。保育園のなかでの仕事内容は、延長保育も含めいろいろな保育士が支え合いながら教えていくという体制になっていますね。
将来の夢は?
門間さん:なにをするにしても身体が資本だということを、年を取るごとに身に染みて感じています。
ちょっとでも不調なところがあると、どうしてもマイナスイメージに引っ張られがちなので。いろいろなことをやってみたいという気持ちになるのも、身体が資本だなと思っています。食事だったり、睡眠だったりと、日々の生活をおろそかにしないで、今後も健康に生きていきたいです。
あなたにとって斜里町とはどんなところ?
門間さん:ちょっと離れたところに行って斜里町に戻ってくるだけで、空気が全然違うんですよね。
息が自然に吸えるようになりますし、空気の「重さ」がこんなに違うのかと感じるほど。斜里町に近づくにつれて、すごく身体も軽くなったり、リラックスできたりするところがあるので、どの人にとっても大きく包み込んでくれる場所であったら嬉しいです。
斜里町で保育士を目指すみなさんにメッセージやアドバイス
門間さん:斜里町で保育を目指すみなさんへ。ここは自然が豊かで、健康的に暮らせるところだと思います。自分の健康も大事にしながら、子どもたちと元気に過ごしてもらえることを第一に考えています。どうぞみなさん、斜里町に来てくださいね。
現在の仕事内容を教えてください
笠井さん:3歳児クラスの担任をしています。保育をしていくなかで、子どもたちがどうやって日常生活を送っていくか、子どもたちが覚えていけることを分かりやすく伝えられるかということを頭に入れながら仕事をしています。
双葉保育園を選んだ理由を教えてください
笠井さん:基本的に町の保育士になりたいと思ったことから、募集があったタイミングで応募しました。
斜里町で保育士になろうと思ったきっかけは?
笠井さん:私は双葉保育園に来る前は子ども通園センターで働いていました。発達支援を行うところなので、一人ひとりに合わせたやり方をしていたんです。それを集団のなかでどう活用していけるかやってみたいと思う部分があって。自分自身も子育てをしているので、お給料面などで安定した生活が必要ということもあって、斜里町の保育園にチャレンジしました。
保育士として働くうえでどんなことを意識していますか?
笠井さん:子どもたちと楽しく過ごすということをいちばんに考えています。大人と同じで、子どもたちにも気分の上げ下げがあったり、その日によって調子が良かったり、悪かったりすることがあるので、子どもたちの笑顔を絶やしたくないと思っていて。保育園はすごく楽しいところだから、毎日行きたいと思ってもらえるような保育をすることを意識しています。そして、子どもたちが過ごす時間が長い場所でもあるので、家庭で教えていくべきことも保護者の方の代わりになって教えていく必要があると思っています。日頃の生活のなかでの大切なことが子どもたちに身につくような保育を心がけています。
双葉保育園に就職して印象に残っているエピソード
笠井さん:特別なことではないのですが、先生たちがお互いにいろいろと話し合って、仲良く過ごしていると日々感じています。疲れていたら仕事に行きたくないとは思いますが、別にそうではないときに仕事へ行くのが嫌だと感じたことは全くない。ほんとうに過ごしやすい場だなと。お互いを気遣って、「仕事が終わっていないなら手伝うよ」とか、そういったことが多いのが印象ですね。
職場環境 / 雰囲気について
笠井さん:土曜日に出勤する場合は、週のどこかに休みが入ってくるので、必ず週休2日はあります。
仕事も家には持ち帰らないということを徹底しています。なので、家で仕事をすることもないですね。
仕事の魅力 / やりがいを感じていること
笠井さん:やはり魅力は子どもたち。元々、保育をする人は子どもが好きでこの仕事を選ぶと思うのですが、子どもたちが笑顔でいてくれるのが私たちのいちばんのやりがいだと感じますね。
将来の夢はありますか?
笠井さん:どこかに旅行に行きたですね。今は自分の子育てがあったり、仕事をしていたりするので、なかなか遠出はできないですが。好きなところに行って、好きなだけ、好きな時間を過ごしたいなと。沖縄には姉妹都市があるので、そこに行きたいです。
あなたにとって斜里町とはどんなところですか?
笠井さん:水がおいしい。やはり自然が豊かなので、四季を感じられるのは子どもたちにとってもいいことだと思っています。なかなか四季を感じられない場所もあるじゃないですか。最近は、夏も本州と変わらないくらい暑いし、かといって冬は寒いし。それを感じるには絶好の場所だと思いますね。
斜里町で保育士を目指すみなさんにメッセージやアドバイスをお願いします
笠井さん:斜里町の保育園にはいろいろな先生がいるとは思うのですが、すごく仲良くやっているので、職場環境としてはいいのかなと感じています。いろいろと不安を持っている若い子はいると思いますが、やはりベテランの先生が多いので、支えてくれたり、アドバイスをくれたりすることが日常的に起こっている。ぜひぜひ来ていただけたらと思います。
現在の仕事内容を教えてください
児玉さん:1・2歳児クラスの担任をしています。月齢によってできることが違うので、その子どもたちの様子を見ながら、成長を助けつつ、できることを増やしてあげられるようにがんばっています。
双葉保育園を選んだ理由を教えてください
児玉さん:たまたま夫の転職がこちらに決まって、「保育園が2カ所あるよ」と言われたことからですね。
斜里町で保育士になろうと思ったきっかけは?
児玉さん:こちらに来る直前は札幌で介護士をしていたんですよ。札幌でも保育士をしていたことがあるのですが、辞めてしまって。斜里町の、のびのびとしたところでまた保育をしてみたいと思い、保育士に復帰しました。
保育士として働くうえで意識していることはありますか?
児玉さん:こちらに来て1年目はよく風邪をひいて体調を崩すことがすごく多かったんです。なので、仕事を休まないように健康に気をつけています。
双葉保育園に就職して印象に残っているエピソード
児玉さん:自分で一から考える誕生会が印象的でした。保育士が自由に内容を考えることができるのですが、「こういうことがやりたいので、協力してもらませんか」と周りの先生方に訊いて進めるのがはじめてだったので、印象に残っています。
職場環境 / 雰囲気について
児玉さん:みんな優しくて、「こんなに優しい職場があるんだ」ということを知りました。今までは辞めていく先生方の気持ちも分かるような職場にもいたのですが、双葉幼稚園はそういったところが全くなく、毎日楽しく仕事させてもらっています。
仕事の魅力 / やりがいを感じていること
児玉さん:やはり子どもの成長はすごく魅力的。昨年、受け持っていた子どもたちの運動会でのすがたを見て、泣きそうになるくらいでした。「そんなに走れるようになったの?」と。
将来の夢はありますか?
児玉さん:昨年、受け持っていた子どもたちの卒園を見届けたいです。
あなたにとって斜里町とはどんなところですか?
児玉さん:私は3年前に札幌から斜里町に来たんです。3年前までは、「世界遺産を回るのに何日かかるの?」というくらいのスパンが必要でしたが、行って帰ってこられるだけの距離にいるのが斜里町の特権だと思いました。暇さえあればドライブに行っています。その日のうちに帰ってこられるのはすごいことですよね。
斜里町で保育士を目指すみなさんにメッセージやアドバイスをお願いします
児玉さん:自然に囲まれたなかで、のびのびとした保育ができて楽しいです。また、公務員保育士は強みだと思っています。ほかの市で公務員保育士をするとなったら倍率が高すぎて、とてもじゃないですが、市営の保育園や幼稚園では働けないですよね。「公務員になりたいな」と思っているなら、斜里町で働いてほしいですね。ぜひ!
現在の仕事内容を教えてください
西本さん:4歳児クラスの担任をしています。子どもと関わっていくことはもちろん、みんなで会議をして、どうやったら楽しく、仕事をしやすく進めていけるかなどの話し合いもしています。
双葉保育園を選んだ理由を教えてください
西本さん:臨時保育士から会計年度任用職員、町内の保育園をあちこち回っていました。町職員の募集が全くない状況で、なかなか試験も受けられなかったのですが、そうこうしているうちに年齢が30歳を超えてしまったら受験資格がなくなるということがあって。 (※受験資格は自治体によって異なる)3年前にはじめて年齢制限なく保育士の試験が行われたので、試験を受けました。
斜里町で保育士になろうと思ったきっかけは?
西本さん:学校を卒業して、まず地元に帰りたいと思ったんです。町内の保育園で臨時で働いたり、ほかの市にも行ってみたりしたのですが、そのときは身体を壊して辞めてしまって。それから斜里町の保育園で働いていました。やはり小さいまちなので、卒園した子どもたちが中学生になって、高校生になって、お母さんになるところまで見続けていられるのと、保護者の方ともまちで会うことができるのが、斜里町で働くきっかけになりました。
保育士として働くうえで意識していることはありますか?
西本さん:子どもたちが楽しく過ごすためには、私たちも楽しく仕事をしなきゃいけないと思っているので、保育士同士の連携を大切にしています。やはり子どもたちも保育園に行きたくない日があるので、たとえ泣いていたとしても、帰るころには「楽しかった」という気持ちになってもらえるように意識しています。
双葉保育園に就職して印象に残っているエピソード
西本さん:困っていることを1人で抱えることが、双葉保育園には少ないと思っています。ちょっと迷ったり、仕事量が増えてきたら、自分から「助けて」と言わなくても、周りから支えてくれる環境が整っていると感じています。このあいだも、急に「ハロウィンパーティーをしようか」という話になって。
行事前で仕事をする時間も減っていたのですが、そんななかでもできる範囲でみんなが楽しめるように、交代で子どもたちの面倒を見ながら準備したんです。そんなとっさの連携プレーができるのも、すごくいいなと思っています。
職場環境 / 雰囲気について
西本さん:休暇については、ここだけではなくどこでもそうだと思うのですが、正直なところ、人手不足で、やむを得ず休暇が取れないことはあります。ですが、事前に予定が分かっている分にはちゃんと休暇は取れるので。急な休暇は人数の関係で難しいですが、それも毎回ではないですね。
仕事の魅力 / やりがいを感じていること
西本さん:子どものいろいろな成長を身近に感じられたり、大きな行事を経験したときの感動を一緒に味わえたりできるところが魅力です。
将来の夢はありますか?
西本さん:私の母も保育士で、娘は小学生なのですが、保育園を卒園するときには「保育園の先生になりたい」と言っていたので、保育士になってくれたら嬉しいな。
あなたにとって斜里町とはどんなところですか?
西本さん:食べものがおいしいかな。いろいろなホテルに泊まってみて、ご飯を食べるときのバイキングで「斜里町の食べものはおいしいんだな」と思いました。
斜里町で保育士を目指すみなさんにメッセージやアドバイスをお願いします
西本さん:地域性も温かい人ばかりです。他のまちから来ても助けてもらえるので、安心して来てくださいね。
現在の仕事内容を教えてください
前川さん:3歳児クラスの担任をしています。子どもたちの成長を手助けできるような活動をしています。
双葉保育園を選んだ理由を教えてください
前川さん:会計年度任用職員の期間も含めて、はまなす保育園で7年くらい働いていました。異動があり、双葉保育園に来ることになりました。
斜里町で保育士になろうと思ったきっかけは?
前川さん:以前は幼稚園で働いていました。子どもを早くに産んで辞めたのですが、子どもが少し大きくなって保育園に入れる年齢になったので、私も幼稚園ではなく保育園で働こうと思ったのがきっかけですね。
保育士として働くうえで意識していることはありますか?
前川さん:子どもたちには先生の表情が伝わると思っているので、できるだけニコニコしていたいです。なかなかそうもいかないときもあるのですが、表情や話し方で伝わってしまうので、意識しています。
双葉保育園に就職して印象に残っているエピソード
前川さん:双葉保育園の周辺にはお散歩コースがたくさんあるんです。陸上競技場があったり、博物館(斜里町立知床博物館)のなかの森には津軽藩士(津軽藩士シャリ陣屋跡)とか、その奥には桜が咲く少年の森がある。公園やアルプ美術館(北のアルプ美術館)もあります。子どもたちも喜びますし、特に季節の移り変わりが分かりやすいですね。
職場環境 / 雰囲気について
前川さん:人手は少ないですが、急な休みでも代わってもらいやすい環境ではありますね。
仕事の魅力 / やりがいを感じていること
前川さん:子どもの成長ですね。今まではできなかったことができるようになったとき。小さい子は、服を着られなかったのに着られるようになったり、靴下が履けなかったのに履けるようになったりと、
成長を実感するときがあるんですよ。大きい子は、4月から3月までの成長がめざましく、見ていて楽しいです。お遊戯会や運動会の行事も好きで、感動しちゃいますね。
将来の夢はありますか?
前川さん:老後を穏やかに過ごしたい。お散歩とかして。子育てもしながら、仕事もしながら、忙しい毎日を過ごしているので。静かにお散歩したいです。
あなたにとって斜里町とはどんなところですか?
前川さん:私は5歳から斜里町に住んでいるんですよね。小・中・高と斜里町で、大学に進学するときにここを出たのですが、また戻ってきました。自然がたくさんあって、季節の移り変わりもよく分かる。
海もあるし、山もあるし。それがいちばんですよね。
斜里町で保育士を目指すみなさんにメッセージやアドバイスをお願いします
前川さん:双葉保育園は楽しいですよ。穏やかな気持ちで保育をすることができます。若い人たちに限らず、いろいろな人たちに来てほしいですね。