スムトコシレトコ

働く人の声

Work style

#04 「保育士として働く」(はまなす保育園編)

特集「保育士として働く」(はまなす保育園編)

斜里町で働く保育士の皆さんの声を集めてみました。インタビュアーは、斜里町へ地域おこし協力隊インターンとしてやってきてくれたライターの木下由貴さん。プロが聞き出した、等身大の声から、スムトコシレトコを感じてみてください。

①山内 まあさ 先生 はまなす保育園 15年目
②進藤 奈美 先生  はまなす保育園 8年目
③長定 未来 先生  はまなす保育園 4年目

①山内 まあさ 先生(はまなす保育園 15年目)

山内さん:5歳児クラスの担任をしています。就学に向けて、日常生活のなかでの言葉遊びやルールを説明しながらみんなで協力するような難しい集団遊びをしています。今はお遊戯会に向けて、いろいろな練習をしています。

山内さん:以前は斜里町の児童館で働いていました。当時、はまなす保育園には産休に入る先生がいたのですが、その代わりとして働くことになりました。

山内さん:奈美先生(進藤奈美先生)のように、やはり周りから、「職員になった方がいい」と後押しされたことがきっかけになりましたね。

山内さん:子どもたちとの信頼関係を築くことを心がけています。保護者の方としても、子どもが嫌いだと感じる先生のことはあまりよくは思わないんじゃないかと。まずは子どもと関わって、だめなことはだめと言いつつ、甘えられるところはしっかり甘えさせてあげたい。メリハリをつけながらやっていけば、自ずと親しみを持ってくれるのではないかという気がします。それがいちばんかな。

山内さん:誕生会ですね。保育士が行事にすごく力を入れているので。保育士自身、楽しいことがしたいという気持ちが大きいので、大人にしか理解できない内容だったとしても、大人が楽しんでいたら、子どもたちも分からないなりに「なんか楽しい!」と思えるんじゃないかと。毎月の誕生会は、保育士としても楽しみなイベントですね。

山内さん:休みがすごく取りやすいです。私自身3人の子どもがいるのですが、次から次へと熱を出して急に休むことになっても「なんとかするから大丈夫だよ」と言ってくれるので、ありがたいです。なんでも相談できる環境で残業もほとんどありません。ただ、お遊戯会などの行事の前は、どうしても子どもたちをもっと可愛くしたいと追及して仕事量も増えてしまうので、自ずと残らないといけないということになります。

山内さん:今まで保育士として働いてきたなかで、保育士の私の対応ひとつで、ガラッと変わってくれることがあるんですよね。悪かったところがすごくよくなったり、集団についてこられなかった子がついてこられるようになったり…。「変わる」ということを経験しているからこそ、子どもたちが成長できるにはどうすればいいかを考えながら動いているので、成長を実感したときは嬉しいです。やりがいがあると感じながら、子どもたちと対話をしています。

山内さん:自分の子どもがすごく病弱で、休まないといけないことが続いていたので、病児保育というものがあったらいいなと思っていました。「病児保育を作りたい」は大きすぎる夢なので、そういった施設があればサポートしたいです。支援ができたらと。どんなに休みやすい職場でも、やはり長いあいだ休むと申し訳ないですよね。そんな葛藤があったので、ほんとうに「どうしても」というときに頼れるところがほしいなと。頼れる人がいなかったり、親もまだ働いている世代だったりと、身近に頼れる誰かがいないというときには必要なんじゃないかな。こういった小さなまちだからこそ、よけいに大切だと感じます。

※病児保育・・・病気の子どもを一時的に預かって保育をすること

山内さん:子どもを産んでから思うようになったのは、安全で、子育てに向いているまちだということですね。交通量が多いわけでもないし、近くの人が見守ってくれているのを感じられるのが大きいです。友だちが都会に移住したという話を聞いても、やはり「斜里町はいいね」となることが多くて、改めて子育てに向いているところだと思いますね。

山内さん:休みが取りやすいところがポイントです。そして、全体的にフレンドリー。
プライベートや仕事のことも話しやすいです。話ができるからこそ、行事のこともみんなで話し合いながら、「こうしたら楽しいんじゃないか」と取り組んでいるので、そこが強みですね。はまなす保育園に来たら楽しいですよ。困ったときはなんでも相談してくださいね。


②進藤 奈美 先生(はまなす保育園 8年目)

進藤さん:3歳児クラスの担任をしています。私ははじめて3歳児を受け持ったのですが、その年の、その子どもたちのカラーによって大変さは変わってくるかと思います。自我を通したい3歳児の保育は大変なときもありますが、子どもたちに共感しながら、自分の気持ちと集団におけるルールなどの折り合いをつけられるように毎日接しています。

進藤さん:斜里町が地元ではないのですが、新卒で就活をするとなったとき、公務員という強みを家族に勧められました。網走出身なので、斜里町とはそこまで距離が遠いわけではなく、私にとって身近で友だちもたくさんいるまちだったので、試験を受けました。

進藤さん:家族の勧めもありますが、やはり「公務員」という安定感のあるところが大きなきっかけになりましたね。

進藤さん:やはり自我を通したい年齢の子どもたちなので、一呼吸おいて、まずは子どもの気持ちに共感してみるということを心がけています。どうしても慌ただしい日常になってしまうと集団の流れにうまく乗せようと思ってせかせかしてしまいがちなのですが、「そうだね」「そうだったんだね」と、まずは共感できるように意識しています。

進藤さん:私は3年目のときにはじめて卒園児を出したので、その子たちとの思い出が印象に残っていますね。新しいことにたくさん挑戦した1年間ということもあって、すごく思い出深い子どもたちでした。

進藤さん:私にはまだ小さな子どもがいるので、頻繁に熱を出すんですよね。でも、子育て世代の先生方が多いということもあって、すごく理解がある。「お互いさまだよ」、「助け合いだから」と、嫌な顔をせずにお休みをもらえて、勤務交代してもらえるのは、ほんとうにありがたい環境だと思っています。

進藤さん:子どもたちの成長が見られることと、子どもが好きでこの仕事に就いているので、子どもに関われるということにやりがいを感じます。年度末に保護者の方から感謝の言葉をもらったときは、「1年間がんばってよかったな」と思いますね。

進藤さん:年々、さまざまな生きにくさを抱えている子どもが増えていると感じています。
私も子どもの出産・子育ての経験があり、育休中にはいろいろなことを調べました。妊娠中から0歳の期間までの子育ての重要性を学んだので、保育園に来る前の子どもたちやお母さんに寄り添えるような支援センターを、いつか作れたらいいなと思っています。

進藤さん:自然が身近にあって、広々とした公園もあるので、子どもを解き放ちやすい。
斜里町にはスーパーもあるし、ドラッグストアもあって、生活には困らない地域だなと感じます。

進藤さん:同世代の保育士の話では、やはり保育士は残業するのが当たり前で、サービス残業も多いと聞きますが、はまなす保育園は超勤もついて、しっかり働いたぶんお金になる。福利厚生のよさが続けやすいポイントなのかなと思います。優しい先生方が多いし、上下関係なく相談しやすいですよ。

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③長定 未来 先生(はまなす保育園 4年目)

長定さん:2歳児クラスの担任をしています。子どもたちとは、天気がいい日は外で遊んで、天気が悪い日はお部屋で制作活動などをします。お遊戯会のシーズンには音楽に合わせてダンスをしたり、マットで運動したりする日もあります。子どもたちと一緒にご飯を食べて、お昼寝をしているあいだにお便りや保育日誌を書き、起きたらおやつを食べます。子どもたちが降園するときまで一緒に過ごしています。

長定さん:はまなす保育園の実習に来たとき、働いている先生方がみんな優しかったので、「優しいところがいいな」と思って、ここを選びました。

長定さん:私は斜里町出身なんです。子どものころに通っていた保育園でお世話になった先生方とは今も仲良くさせてもらっているので、そんな先生たちと一緒に働きたいなと。母が保育士をしていることもあって、私もはまなす保育園で保育士になろうと思いました。

長定さん:私の性格なのかもしれませんが、明るくいようと思っています。休みの日にどこかへ出かけたら、「これ保育園で使えそう」とか、「これがあったら子どもたちが楽しんでくれそう」とか、常に子どもたちのことを考えていて。子どもたちも集団生活を送っているから、どうしてもやらなきゃいけないこともあるけど、基本的に楽しく園生活を過ごしてほしいので。子どもたちが明るくいられるように、私もそんな気持ちでいようかなと思っています。

長定さん:誕生会です。この保育園には行事担当の保育士がいて、その月に合わせていろいろな出しものを考えてくれるんです。人形劇とか、私たちが主役となって出演する人間劇とか。クイズ大会やリレーもします。お遊戯会のあとには「お遊戯会ごっこ」をするのですが、それは保育士が仮装をして、子どもたちと同じものを踊るんですよ。楽しいです。

長定さん:勤務時間は、早番だと7時25分までの出勤で、退勤は16時10分ごろです。(※2024年11月現在)
忙しい時期や自分の仕事がなかったら、基本的に16時10分には帰れます。残業はほとんどしないですね。早番以外の勤務時間でも、勤務が終了したらすぐに退勤できます。週休2日制ですが、土曜日も保育園はあいているので、土曜日だけ隔週で出勤することになっていますただ、土曜日に出勤するときは平日にお休みが取れます。

長定さん:やはり子どもが好きなので、子どもに関われることがいちばんかな。字の書き方を教えるとき、「こうしたら書けるかな?」と試してみて、書けるようになった瞬間なんかは、「よし!」となります。子どもの成長をそばで感じられるのは保育士ならではのやりがいですね。

長定さん:すごく身近なことで、確実に叶う夢なのですが、私がはじめて受け持った子どもたちが4歳児になっているので、その子たちの卒園を見届けたいと思っています。

長定さん:アットホームですね。確かに、いろいろと栄えている市に比べると「斜里町は一生自然でいくの?」という不便さはあるのですが、それを含めて斜里町に住みたいと思っています。たとえば、近所のおばあちゃんに「おはよう」と声をかけると、必ず「おはよう」と返してくれる。人柄のよさが斜里町の魅力かな。

長定さん:とにかく楽しいです。嫌だなと思うことがあっても、楽しさの方が上回って、楽しく生きていられる。保護者の方も優しいし、地域の方もいろいろなことに協力してくれます。お遊戯会にホールを使わせてもらったり、児童館にも遊びに行かせてもらったり。保育園だけで保育園生活が成り立っているわけじゃないと思っています。農家さんにお願いして、芋を植える体験と芋を掘る体験もしているのですが、こういったことができるのは地域の方の力があるからなんですよね。ここに来れば、地域の温かみを感じられますよ。

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