
家族旅行で出会った斜里町の自然に魅了され、石川県から移住。憧れていた知床の風景の中で、新しい仕事と暮らしを楽しむ高橋さんにお話を伺いました。
高橋 さん
石川県出身。家族旅行をきっかけに、ご夫妻で石川県から斜里町へ移住。現在は北海道エネルギー株式会社に勤務している。
(interview:2026年10月)
最初に斜里町へ訪れたのは、2023年3月の家族旅行でした。
長期休暇を取れる機会があり、子どもたちも大学生になって家族5人で過ごすことが減っていた頃でした。タイミングよく予定が合ったので、以前から訪れてみたかった知床へ、家族で訪れました。
そのときに見た斜里岳や知床の雄大な自然に強く惹かれ、「こんな場所で暮らせたら楽しいだろうな」、「きっと幸せなんだろうな」と感じたことが始まりでした。
ただ、その時点では移住までは考えていませんでした。 旅行は昔から好きで、家族でもよく出かけていましたが、「ここに住んでみたい」と思った場所は斜里町が初めてでした。
最初は僕のわがままみたいなものだったと思います(笑)。
旅行から帰ったあと、「斜里町に住めたら楽しそうだよね」と冗談交じりに話したのがきっかけでした。そこから少しずつ現実的に考えるようになり、子どもたちのことや住まいのことなど、妻と移住について話し合うになりました。

斜里町へ移住して1年半ほどですが、北海道の主要なところは回ったと思います。
生き物たちや美しい風景を求めて遠方にも足を運びました。行き先はSNSや知り合いの人から聞いた情報を参考にすることが多いですね。
妻ともよく話すのですが、移住してから今もずっと、休みの日のたびに観光をしているような感覚なんです。北海道にはまだまだ知らない場所がたくさんあって、それを楽しみながら巡っています。
妻が職場の方に連れて行ってもらったことがきっかけで知ったのですが、道の駅しゃりの近くにある居酒屋「串丸」さんによく通っています。
串丸のご主人も奥さんもとても気さくな方で、石川県から移住してきた経緯を話したところ、何回か通ううちに「こういうの知らないでしょ」と地元の食材をお裾分けしてくださったこともありました。
そんな人との距離の近さも、斜里町の魅力だと感じています。

四季の移り変わりを日々感じられるところが、とても気に入っています。
今の住まいは海の近くなので、普段は波の音が聞こえるんです。でも冬になると流氷が海を覆うため、波の音が聞こえなくなることがあります。
そして風向きに変わると波の音がまた聞こえてきて、「あー流氷、沖に出ちゃったのかなぁ」と、そういう自然の変化を身近に感じられることが面白いですね。今の時期(10月頃)だと、朱円の方の川へ行くと鮭の遡上も見ることができます。
以前、水族館の飼育員として鮭の遡上について説明をしたこともあるのですが、実際に目の前でその光景を見ると本当に感動しました。
また春になると、職場の前にある畑ではトラクターが走るたびに砂埃りが舞って、正直、目が痛くなることもありますが、秋になると麦やビートになるんだなと想像するようになりました。
ここでは、季節の変わり目がはっきりしていて、出来事から季節を感じることができる、分かるところはすごいなって思います。
やっぱり斜里岳ですね。
今の職場からもよく見えるんです。面接のときにも、「斜里岳が好きなんです」と話していたのですが、「この職場からもよく見えるよ」と言われたことを覚えています。
もう一つはウトロの景色ですね。知床連山が本当にきれいで、雪かぶっている姿が僕は好きだなと思います。

求人サイトやハローワークなどを利用して、仕事を探していました。
自分の経験を活かせる生き物に関連する職業はもちろん、農業や趣味でもある車に関わる職業も含めて探していたところ、今お世話になっている北海道エネルギー株式会社の求人を見つけました。
仕事が決まったのは、2月下旬でした。
移住を考え始めてから実際に移り住むまで、1年ほどかかりました。
移住は4月に決まっていたので、本当にぎりぎりでした。
地元の方はもちろん、観光で来られる方など、さまざまな人とお話しできることですね。
農家の方なら「今年は玉ねぎが厳しいね」、漁師の方なら「鮭がなかなか獲れないね」といったように、その時々の地域の話を聞くことができます。
知り合いがいない状態で移住してきたので、そうした会話を通して農業や漁業を含めた斜里町の今を知ることができるのは、とてもありがたいですね。
観光のお客様からも、観光地について質問されることもあります。
僕自身もまだ移住して1年半ほどなので知らない場所はありますが、同じように知床を好きになった人の視点でお話しできるのかなと思っています。

移住を考えるときは、まず家族や周りの方の理解を得ることが大切だと思います。
もちろん全員がすぐに賛成してくれるとは限りませんが、自分の思いや理由をしっかり伝えたうえで判断した方が、その後の暮らしもきっと良いものになると思います。
移住を決断する人には、その土地に住みたいと思えるほどの魅力や、実現したいことがあるはずです。
暮らしが始まれば多少の不便や想像と違うこともあると思います。でも、それを上回る魅力や楽しさがあるからこそ、その土地を選んだのだと思います。
だからこそ、あまり心配しすぎなくても大丈夫。
きっと、なんとかなるものですよ。
※記事内容はインタビュー時点のものです。